「高校無償化、うちも対象になるんだ。これで教育費の心配は少し減ったな」
2026年度から、高校の授業料無償化が大きく広がりました。所得制限が完全に撤廃され、私立高校に通っても年間45万円以上が公費でまかなわれる。ニュースを見て、ホッとした40代の親御さんも多いと思います。
でも、ちょっと待ってください。その「安心」、半分だけ正解で、半分は危険な勘違いかもしれません。中1の息子がいる氷河期おっさんの私が、制度をぜんぶ計算して出した結論はこうです。無償化されたのは「授業料」だけ。一番お金がかかる”その先”は、ほぼ全部あなたの自腹です。
まず整理:2026年度の高校無償化で何が変わったか
2026年度(令和8年度)から、高等学校等就学支援金が次のように拡大しました。これ自体は、本当にありがたい制度です。
| 区分 | 2026年度からの支援上限(年額) | 所得制限 |
|---|---|---|
| 公立高校 | 約11万8,800円(実質無償) | なし |
| 私立高校 | 最大45万7,200円(全国平均授業料水準) | 完全撤廃 |
| 私立通信制 | 最大33万7,000円 | 撤廃 |
これまで「年収◯◯万円以上は対象外」とはじかれていた世帯も、2026年度からは私立でも全世帯が支援の対象。私立に通わせると、3年間でざっくり約137万円(45.7万円×3年)が公費でまかなわれる計算です。これは素直に大きい。
ついでに言うと、2026年4月からは公立小学校の給食費も国が月5,200円を支援する制度が始まりました。子育て世帯の負担を減らす流れ自体は、確かに進んでいます。とはいえ2026年は社会保険料や電気代など”見えない値上げ”も重なる年。支援で浮いた分が、別のところで消えていないか、家計全体で見る目が要ります。
落とし穴①「無償化」されたのは、授業料”だけ”
ここが一番の勘違いポイントです。高校無償化でタダになるのは、あくまで授業料。次のお金は、1円も無償化されません。
- 入学金・施設設備費・教材費・制服代
- 修学旅行費、部活動の遠征費
- 塾・予備校代(高校3年間で平均100万円超とも)
- 大学受験そのものの費用(受験料・交通費・滞在費)
- そして本丸の大学の学費と生活費
家計を本当に殺すのは、授業料じゃないんです。授業料の周りにぶら下がっている、この「無償化されない費用」のかたまり。中でもケタが違うのが、大学です。
落とし穴②「大学無償化」は、3人以上の世帯しか効かない
「いやいや、大学だって無償化が始まったでしょ?」——そう思った人ほど要注意です。2025年度から拡大した大学無償化(高等教育の修学支援新制度)で所得制限なしになったのは、あくまで「子どもを3人以上、同時に扶養している多子世帯」だけ。
つまり、うちのような一人っ子世帯や子ども2人の世帯は、原則として対象外(住民税非課税世帯などを除く)。我が家の中1息子は、見事に蚊帳の外でした。
しかも、多子世帯にも厳しい罠があります。子どもが3人いても、第1子が就職して扶養を外れた瞬間、扶養する子は2人になり、下の子たちが一気に対象外になる。「3人を同時に扶養」という条件が崩れた瞬間、支援が止まるんです。永久に保証されたものではない、ということです。
数字で見る:教育費の最大の山は、無償化の”外”にある
子ども1人を大学卒業まで育てるのに必要なお金は、進路にもよりますが総額でおよそ1,000万円前後と言われます。その内訳の山が、どこにあるか。
| 項目 | 目安(自己負担) | 無償化される? |
|---|---|---|
| 高校(私立・授業料) | 約137万円 | ◯(2026年度〜) |
| 私立大学・文系の学費(4年) | 約400〜450万円 | ×(多子世帯のみ) |
| 下宿の場合の生活費・仕送り(4年) | 約430万円(月9万円目安) | × |
| 塾・予備校・受験費用 | 100万円以上 | × |
見ての通り、無償化で浮くのは高校の137万円。一方、大学だけで私立・下宿なら800〜900万円が、まるごと自己負担として残ります。「無償化で安心」と思っていたら、一番デカい山に丸腰で突っ込むことになる。これが落とし穴の正体です。
じゃあどうする:浮いた45万円+やめた金を、運用に回す
悲観する話じゃありません。むしろ逆。高校無償化で浮いた授業料を、そのまま大学費用の準備に回せばいいんです。これまで授業料に消えていたお金が、ごっそり手元に残るんですから。
たとえば、私立高校で浮く年45万円を、子どものためのNISA口座でコツコツ積み立てる。月3.7万円を高校3年間で元本約135万円、年5%で運用できれば約145万円。さらにここに、タバコや晩酌をやめて浮いた固定費を上乗せする。私の場合、タバコ月2万円をやめた金を運用に回すと、30年で約1,664万円になる計算でした。これを子どもの将来に振り向ければ、18年で約700万円。無償化されない大学費用に、十分手が届く数字です。
つまり、こういう順番です。
- 無償化で浮いた授業料を、生活に溶かさず取り分ける
- やめた金(タバコ・酒・パチンコの固定費)を上乗せする
- その合計を、NISA/こどもNISAで長期運用し、無償化されない大学費用を自分で作る
口座は手数料の安いネット証券一択。銀行の窓口で始めると手数料で30年170万円も損をするので、ここは間違えないでください。子どもがまだ小さいなら、月1,000円から子どもと一緒に始めるのもおすすめです。
リアのびの本音
正直に言うと、高校無償化のニュースを見たとき、私も一瞬ホッとしたんです。「これで少し楽になる」と。でも電卓を叩いてみたら、安心できたのは教育費全体の1割ちょっとだけ。残りの9割、特に大学の山は、何も変わらずそこにありました。
氷河期世代の私たちは、「気づいたときには手遅れ」を何度も味わってきました。だからこそ、息子が中学生の”今”動く。無償化に安心しきって何もしない親と、浮いた分を黙々と運用に回す親。18年後の差は、たぶん数百万円になります。
まとめ:「無償化」は終わりじゃなく、スタートの合図
2026年度の高校無償化は、間違いなく良い制度です。でも、それは「授業料という入口が軽くなった」だけ。本当の勝負は、無償化されない大学費用をどう準備するか。
浮いた45万円を生活費に溶かして終わる人と、それを未来の学費に変える人。同じ「無償化の恩恵」でも、使い方ひとつで結果はまるで変わります。ましてや物価が上がり続けるこれからの時代、ただ貯金しているだけではお金の価値は目減りします。安心するのは、準備を始めてからでいい。
よくある質問(FAQ)
Q. 高校無償化は本当に全世帯が対象ですか?
A. 2026年度から所得制限は撤廃され、公立・私立とも全世帯が就学支援金の対象です。ただし支援は授業料が中心で、入学金や教材費などは対象外です。制度の詳細や最新の上限額は、お住まいの自治体・文部科学省の公式情報で必ずご確認ください。
Q. 子どもが一人でも大学無償化は使えますか?
A. 多子世帯(3人以上を同時扶養)向けの所得制限なし無償化は、原則として一人っ子・2人世帯は対象外です。住民税非課税世帯などは別途、従来の修学支援新制度の対象になる場合があります。
Q. 浮いたお金を運用に回して大丈夫?
A. 本記事は特定の金融商品を勧めるものではなく、投資は元本が保証されるものではありません。教育費という「使う時期が決まったお金」は、リスク許容度や時間軸を踏まえて判断してください。最終的な判断はご自身の責任で、必要に応じて専門家にご相談ください。
※本記事の制度内容は2026年6月時点の情報です。2026年度の制度には決定・予定段階の内容を含み、自治体によって運用が異なります。最新情報は文部科学省・各自治体の公式発表をご確認ください。


コメント