ニュースで「退職金課税が改悪される」と聞いて、震えた40代は多いはずだ。
俺もそうだった。氷河期世代で就職活動を必死に乗り越え、ようやく見えてきた退職金とiDeCoの「自分年金」を、国がまた削りに来た、と。
でも、ニュースだけ見て放置しているのが一番ヤバい。
計算したら、受取順序を間違えるだけで200〜300万円が消えることが分かった。
この記事では、難しい税制の話を「45歳サラリーマンの田中さん」のケースで具体的に計算し、今すぐできる節税策3つを書く。読み終わる頃には「震えるだけ」から「動ける」に変わるはずだ。
結論:受取順序で「数百万円」違う。今から備えれば間に合う
最初に結論だけ書く。
- iDeCo一時金を60歳で受け取り、退職金を65歳で受け取るのは2026年以降「最悪パターン」になる
- 2026年改正で「5年ルール」が「10年ルール」になり、重複期間分の控除がガッツリ削られる
- 40代のうちに「受取順序」「年金 vs 一時金」「NISA併用」の3つを設計しておけば、損失をゼロに近づけられる
つまり、知っているか知らないかだけで、老後資金の手取りが300万円変わる。
これが「氷河期世代がまた損する」と言われる理由だ。
2026年改正の核心:5年ルール → 10年ルール
退職金とiDeCo(確定拠出年金)の一時金は、両方とも「退職所得控除」という大きな控除を使える。
勤続20年までは年40万円、20年超は年70万円。
38年勤続なら、控除額は2,060万円にもなる。
退職金が2,000万円なら、控除で課税ゼロ。これがサラリーマンの最強の節税ツールだ。
改正前(5年ルール)
iDeCoの一時金を60歳で受け取り、その5年後の65歳で会社の退職金を受け取れば、両方ともフルに控除を使えた。
iDeCoの控除と退職金の控除を、別物として両方使える。これが「5年ルール」の旨味だった。
改正後(10年ルール)
2026年からは、iDeCo受取と退職金受取の間に10年以上空けないと、重複期間分の控除が削られる。
つまり、60歳でiDeCoをもらったら、退職金は70歳以降に受け取らないとフル控除にならない。
※逆パターン(退職金を先に受け取り、iDeCoを後で受け取る場合)は19年ルールのまま変わらない。20年空ける必要がある。
ケーススタディ:田中健太さん45歳が損する金額を計算した
抽象論だと頭に入らないので、具体的な数字で見る。
【設定】田中健太さん 45歳・大企業勤務
- 大卒22歳で入社、60歳定年予定(勤続38年)
- 退職金は会社規定で2,000万円受け取り予定
- iDeCoは30歳から開始、月2.3万円拠出、60歳で1,200万円受取予定
- 定年後は65歳まで再雇用、退職金は65歳で受取
改正前(5年ルール)なら税金ゼロ
- 60歳:iDeCo一時金1,200万円 → 控除1,500万円でカバー、税金ゼロ
- 65歳:退職金2,000万円 → 控除2,410万円でカバー、税金ゼロ
- 合計税金:0円
改正後(10年ルール)なら税金約180万円
iDeCoと退職金の間が5年しかないので、重複期間分の控除が削られる。
- 60歳:iDeCo一時金1,200万円 → 控除1,500万円でカバー、税金ゼロ(ここは変わらず)
- 65歳:退職金2,000万円
- 通常控除:2,410万円
- 重複期間(30〜60歳の30年)分の控除:1,500万円を差し引き
- 調整後控除:910万円
- 課税対象:(2,000万 − 910万) ÷ 2 = 545万円
- 税金(所得税+住民税):約180万円
差額:180万円。
知っているか知らないかだけで、車1台分の手取りが消える。
これが退職金3,000万円のケースなら、損失は約300万円に膨らむ。
大企業正社員でiDeCoを満額拠出している人ほど、ダメージはデカい。
節税策①:iDeCoを「年金受取」に切り替える
一番シンプルな対策は、iDeCoを一時金ではなく「年金(分割)」で受け取ること。
年金で受け取れば、退職所得控除ではなく「公的年金等控除」を使う。これは退職金とは別枠なので、重複調整の影響を受けない。
公的年金等控除は65歳未満で年60万円、65歳以上で年110万円まで非課税。
iDeCoを5〜20年に分割して受け取れば、毎年の年金額が控除内に収まり、税金を抑えられる。
注意点:年金受取は運営管理手数料がかかる(年440円〜)。長期で受け取ると数万円コストが増えるので、税金との差し引きで損得を計算する。
節税策②:受取順序を「退職金 → iDeCo」に逆転させる
「退職金を先、iDeCoを後」にすると、19年ルールが適用される。一見不利に見えるが、定年後にiDeCoを長期運用し続ければ問題ない。
具体的には、60歳で退職金を受け取り、iDeCoは75歳で受け取る(iDeCoは75歳まで受給開始を遅らせられる)。
これなら退職金〜iDeCo間が15年だが、20年に満たないと完全フル控除にはならない。
しかし、iDeCo側の控除は加入期間に応じてあるので、調整後でも一定の控除は残る。
受取時期を選べるなら、シミュレーションして「税金が最小になる順序」を選ぶのが最適解だ。
節税策③:NISAで「課税ゼロの老後資金」を別枠で積み上げる
退職金とiDeCoの税制改正にビクビクするのが嫌なら、NISAを使え。
NISA口座で運用した分は、受取時の課税がゼロ。退職所得控除や年金控除と一切関係ない。
2024年以降の新NISAなら、生涯1,800万円まで非課税運用できる。
45歳から月10万円積み立てれば、60歳までに元本1,800万円を埋め切れる。
仮に年4%で運用できれば、60歳時点で約2,500万円。
これが全額非課税で手取りになる。
退職金とiDeCoの税制が今後どう変わっても、NISA部分は影響を受けない。「税制改正リスクのヘッジ」としてNISAは最強だ。
やってはいけないNG例3つ
NG①:60歳でiDeCo一括+65歳で退職金(10年ルール直撃)
2026年以降の最悪パターン。前述のケーススタディ通り、180〜300万円が消える。
NG②:何も計算せず会社の言う通りに退職金を受け取る
会社の人事は税金最適化までは教えてくれない。
退職前に「自分の退職所得控除はいくらか」「iDeCoとの組み合わせでベストな受取順序は何か」を必ずシミュレーションする。
NG③:iDeCoをやめる
「改悪されるならiDeCoやめる」は早計。
iDeCoは拠出時の所得控除(年27.6万円〜)が強力で、受取時を多少損しても、トータルではプラスになるケースが多い。
やめるのではなく、受取方を工夫するのが正解。
まとめ:今日から動ける3ステップ
- 自分の退職金見込額を会社に確認する(人事 or 退職金規程)
- iDeCoの60歳時点の見込額をシミュレーションする(証券会社のサイトで5分)
- NISAを月3〜10万円で積立開始する(税制改正リスクのヘッジ)
この3つを45歳のうちにやっておけば、2026年改正で消える数百万円を取り戻せる。
俺たち氷河期世代は、就職氷河期・年金カット・退職金課税改悪と、ずっと国に削られ続けてきた。
でも、「ニュースを見て震える」だけじゃ何も変わらない。
電卓を叩いて、数字で対策する。
それだけで、消えるはずだった老後資金が手元に残る。
40代の今が、最後のチャンスだ。
関連記事
- 失われた30年で消えた家計2,000万円|氷河期世代40代がそれでも投資を始める理由
- 夏ボーナス40万円、半分をNISAに入れた40代の20年後|計算したら「車1台分」になった
- 健康寿命と平均寿命の差9年を金額換算したら2,600万円だった【40代必読】
人生設計ランキング


コメント