禁煙100日。数えてはいる。でも、正直なところ何が変わったのかよく分からない。
体が劇的に良くなった実感はないし、たまに吸いたくもなる。「祝・禁煙100日達成!」という投稿を見ても、自分はそこまで晴れやかな気持ちではない。この先ほんとうに何か変わるのか。
先に結論を書く。100日で減るのは、吸いたさではない。手間のほうだ。
「禁煙 100日目」の1ページ目を、9本とも開いた
今朝、検索して出てくるものを全部読んだ。内訳はこうだった。
- 「祝、禁煙100日達成」という達成報告が3本
- 体の変化を説明した一般論が2本
- 100日チャレンジのアプリが1本
- クリニックが1本、VAPEのメディアが1本
そして9本のうち、たった1本だけ、質問の側があった。知恵袋だ。「禁煙し100日目です。この先目に見える変化、実感は」——これがいちばん、検索している人の言葉に近いと思った。
達成報告と一般論はある。「この先どうなるか」に答えているものが無い。だからここに書く。
89日目の人が挙げたのは、体の話ではなかった
俺は毎晩、やめた日を数えている人に話を聞いている。昨日聞いたのは、禁煙89日目の方だった。
その方が最初に挙げた変化は、これだった。
タバコを買いに行かなくていいし
喫煙可のお店を探さなくていい
前半は、俺もよく聞く話だ。40日目の記事を書いたときも、コンビニやスーパーのサービスカウンターに行かなくなった、という話が何件も出てきた。
引っかかったのは後半だった。「探さなくていい」。買う店の話ではなく、入る店を選ぶときの基準の話をしている。
そこを聞いたら、返ってきたのがこれだった。
仕事柄、会食が多いのですが、喫煙可のお店は圧倒的に少ないので、どうしても同じお店に行くことが多かったので、今はそれがなくとてもストレスがないです。
吸っていた頃は、店を選べていなかった
ここで、やっと意味が分かった。
吸える店は少ない。だから、行ける店が最初から絞られていた。しかもその方の場合、会食だ。自分ひとりの都合ではない。人と会う場所を決めるときに、毎回その条件がついて回る。
結果として「どうしても同じお店に行くことが多かった」。
俺は13年吸っていたが、これを不便だと思ったことが一度もなかった。当たり前の前提になっていたからだ。選べていないことに気づいていなかった。
そして、やめて消えたものを「ストレス」と呼んでいる。我慢が減ったのではない。最初から背負っていた条件が外れた、という言い方だった。
禁煙の話は、たいてい健康か金で語られる。金のほうは俺も数えている。ただ100日で目に見えるのは、そのどちらでもなかった。生活から消えた手間のほうだった。
ただし、吸いたさは消えていない
ここを飛ばすと嘘になるので、そのまま書く。
同じ89日目の方は、こう続けている。
たまにふとタバコを思い出しますが、何とか乗り越えてます笑
89日たっても、思い出す。これは、俺が聞いてきた他の人とも一致している。
- 禁煙37日目の方「基本的にずっと吸いたいですし……が、吸ってません」
- 禁煙2か月の方「今でも強烈に吸いたくなります(笑)」
- 禁煙46日目の方「最初の頃は深呼吸しばらくすれば治ってましたね」。ただ、15分我慢しても治らない日が来た
37日、46日、2か月、89日。並べても、吸いたさが消えていく方向には動いていない。
動いているのは別のところだ。37日目の方は「ずっと吸いたい」と書き、89日目の方は「たまにふと」と書いた。頻度と、扱い方が変わっている。89日目の方は「乗り越えてます」と、自分で処理する側の言い方をしていた。
100日は、山を1つ越えた直後にあたる
禁煙4か月の方から、こういう話を聞いている。
3日目、3週間目、3カ月目が山だった
山が3つある、という話だった。これを日数に直すと、3日目・21日目・90日目あたりになる。
100日は、3つ目の山を越えた直後だ。
だとすると、100日で手応えがないのは自然かもしれない。山を登っているときはきつさで分かるが、越えた直後は「きつくないこと」しか起きない。何も起きていないように感じる。
ちなみに3ヶ月の壁については前に書いたが、あれは俺ひとりの体験で書いたものだ。今回の「山が3つ」は、別の人の言葉で、しかも位置が具体的に出てきた。そちらのほうが使えると思っている。
では、いつ消えるのか
ここがいちばん聞かれるところだと思う。正直に答える。俺が禁煙の話を聞いた中で、「完全に消えた」と言った人は1人だけだった。しかもその人は、3日で消えている。
3日間過ぎる頃には全く吸いたくなくなった
逆に言えば、3日で消えなかった人は、37日でも46日でも2か月でも89日でも残っていた。「そのうち消える」と期待して待つのは、たぶん外れる。
ひとつだけ、別の依存の話で参考になったものがある。パチンコを20年やってやめた方が、こう書いていた。
だいたい1年くらいパチンコ屋に入らずにいたら消えました。選択肢そのものが脳内から消えた
タバコの話ではないので、そのまま当てはめるつもりはない。ただ、「消える」というのは欲が弱くなることではなく、選択肢の一覧から落ちることだという言い方が、いちばん腑に落ちた。
89日目の方の「喫煙可の店を探さなくていい」も、同じことを別の側から言っている。探すという行動が、先に一覧から落ちている。
3,405日目の俺が、手放した店
今日で3,405日目になる。9年と4か月だ。
89日目の方の「喫煙可の店を探さなくていい」を読んで、俺にも店の話がひとつあると思った。
20年通ったパチンコ屋に、行かなくなった。吸えないからではない。隣の台の人が吸っていて、座っているだけで煙を吸うことになる。それではやめた意味がない。そして、吸える場所にいると、自分も吸いたくなる。
89日目の方は、吸える店を探す手間が消えた。俺は、吸える店そのものを手放した。どちらも、吸いたさより先に「店」のほうが動いている。
吸いたさの話ではない。手間と場所の話だ。100日で動き始めるのは、たぶんこちら側だ。
まとめ|100日目にいる人へ
- 100日で目に見える変化は、体には出にくい。出るのは生活から消えた手間のほうだ
- 89日目の方が挙げたのは「喫煙可の店を探さなくていい」だった。吸える店は少ないので、行ける店が最初から絞られていた
- 吸いたさは100日では消えない。37日・46日・2か月・89日、誰も消えていない。変わるのは頻度と扱い方だ
- 100日は3つ目の山を越えた直後にあたる。手応えが無いのは、越えたからかもしれない
- 次の区切りが遠く感じるなら、1000日で何が戻って何が戻らなかったかを数えてある
100日続いた人が受け取っているのは、たぶん達成感ではない。選べる店の数だ。
次の日数の話はこちら。5ヶ月前後でまだ吸いたくなる人へ、来る場面を3人に聞いた。禁煙5ヶ月、まだ吸いたくなる人へ|来るのは「吸っていた頃にいちばん吸いたかった瞬間」だった
この先の話も書いた。200日まで行くと、問いが「何が変わったか」から「もう離れたと言っていいのか」に変わる。禁煙200日、もう離れたと言っていいのか|30年やめている人は、一度も「やめた」と言っていなかった


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