「老後2,000万円問題」が話題になったとき、俺は思った。
お金を貯める前に、体が動かなくなったら意味がないんじゃないか、と。
タバコを20年吸って、毎日晩酌して、運動もゼロだった俺が、ある数字を見て震えた。
「健康寿命と平均寿命の差」を金額換算すると、約2,600万円になる。
これは「もしもの話」じゃない。今の生活習慣を変えなければ、俺たち40代のほぼ全員が直面する現実の話だ。
「健康寿命」と「平均寿命」の差、知ってますか?
まず数字を見てほしい。厚生労働省の最新データはこうなっている。
| 平均寿命 | 健康寿命 | 差(不健康期間) | |
|---|---|---|---|
| 男性 | 81.09年 | 72.57年 | 8.52年 |
| 女性 | 87.14年 | 75.45年 | 11.69年 |
男性で約9年、女性で約12年。この期間、日常生活に制限がかかった状態が続く。
「健康寿命」とは、介護や病気で日常生活が制限されることなく、自立して生きられる期間のこと。平均寿命との差がそのまま「不健康な期間」になる。
9年間、何ができなくなるか。想像してみてほしい。
- 好きなところに旅行できない
- 孫と思いきり遊べない
- 趣味を楽しめない
- 一人でトイレにも行けなくなる
- 毎日誰かの世話にならないといけない
そしてその9年間は、莫大なコストがかかる。
「不健康な9年間」にかかるコストを全部計算した
俺が実際に計算してみた。「不健康な9年間」に発生するコストを項目ごとに積み上げると、こうなる。
①介護費用(自己負担):約756万円
介護費用の平均自己負担額は月約7万円(生命保険文化センター調査)。介護保険でカバーされる部分を除いた実費だ。
7万円 × 12ヶ月 × 9年 = 756万円
ただし施設に入居する場合は月15〜25万円になることもある。756万円はあくまでも「平均的なケース」の最低ラインだ。
②医療費(自己負担):約432万円
65歳以降の医療費は現役世代の約5倍。75歳以上になると年間の自己負担額は平均40〜60万円になる。
月4万円 × 12ヶ月 × 9年 = 432万円
高額療養費制度でカバーされる部分はあるが、入院中の食事代・差額ベッド代・通院交通費などは別途かかる。
③入院・手術費(複数回):約200万円
不健康期間には入院や手術が複数回発生することが多い。1回の手術・入院で自己負担20〜50万円、それが数回あれば200万円は十分ありえる数字だ。
④家族の介護離職コスト:約1,200万円
これが盲点だ。自分の介護のために、子供や配偶者が仕事を辞める「介護離職」。年間約10万人が介護を理由に仕事を辞めている。
仮に家族の年収400万円の人が3年間介護で仕事を失えば、1,200万円の損失になる。これは家族全体の経済的なダメージだ。
合計:約2,588万円 ≒ 2,600万円
| 費用項目 | 9年合計 |
|---|---|
| 介護費用(自己負担) | 756万円 |
| 医療費(自己負担) | 432万円 |
| 入院・手術費 | 200万円 |
| 家族の介護離職損失 | 1,200万円 |
| 合計 | 約2,600万円 |
「老後2,000万円問題」を超える数字が、健康でいられない期間のコストとして出てくる。
NISAで必死に2,000万円を積み立てても、不健康な9年間で2,600万円が吹き飛ぶ。
タバコ・酒が「不健康期間」をさらに伸ばす
ここからが本当に怖い話だ。
上の計算は「日本人の平均」の話。喫煙者や飲酒習慣のある人は、さらに不健康期間が伸びる。
研究データによると、喫煙者は非喫煙者より健康寿命が約4〜8年短縮することが分かっている。
つまり、喫煙者の「不健康期間」は9年ではなく、13〜17年になる可能性がある。
不健康期間が1年増えるごとに、追加コストは約290万円。
| 習慣 | 不健康期間への影響 | 追加コスト(概算) |
|---|---|---|
| 喫煙(20年以上) | +4〜8年 | +1,160〜2,320万円 |
| 毎日飲酒 | +2〜4年 | +580〜1,160万円 |
| 運動ゼロ | +2〜3年 | +580〜870万円 |
タバコ・酒・運動ゼロを全部やっていた俺は、下手すると不健康期間が20年を超えていた可能性がある。計算しただけで、背筋が凍った。
「健康投資」のコスパを計算すると、年利1,000%を超える
では逆に考えてみよう。健康習慣を続けることで「不健康期間」を1年縮めると、290万円のコストが消える。
その「健康投資」にいくらかかるかを計算するとこうなる。
| 健康投資 | コスト | 期待リターン | 年利換算 |
|---|---|---|---|
| 禁煙外来(3ヶ月) | 約2万円 | 290万円以上 | 14,500% |
| 定期健診(年1回) | 約3〜5万円 | 数百万円の早期発見効果 | 数千% |
| ジム・運動習慣(年間) | 約6万円 | 290万円相当 | 4,800% |
株式投資の長期平均リターンが年利7〜8%と言われる中、健康投資の「年利」は比較にならないほど高い。
俺が禁煙外来に行ったとき、費用は3ヶ月で約2万円だった。その2万円で、不健康期間が少なくとも4年は縮まる計算になる。1,160万円を2万円で買えたようなものだ。
40代から始めても、まだ間に合う
「もう遅い」と思う人もいるかもしれない。でも、データはそう言っていない。
研究によると、44歳までに禁煙すると非喫煙者と比べて9年長生きできる。54歳でも6年、64歳でも3年の効果がある。断酒も同様で、始めてから1ヶ月で肝臓の数値が改善し始めるケースも多い。
俺が全部の悪習慣をやめたのは40代になってからだ。それでも体は確実に変わった。
体という「資産」は、株と違っていつでも買い直しが効かない。でも、今から少しずつ修繕することはできる。
まとめ:NISAより先に「体への投資」をしろ
- 日本人の平均的な「不健康期間」は9〜12年
- その期間にかかるコストは約2,600万円
- 喫煙・飲酒・運動不足があれば、さらに数千万円増える
- 健康習慣のコストは年数万円で、リターンは数百〜数千万円
老後2,000万円問題ばかり語られるが、本当に怖いのは「不健康な期間が長くなること」だ。
お金は稼ぎ直せる。でも失った健康寿命は取り戻せない。
体は、唯一の「実物資産」だ。どんな投資より先に、まず体に投資してほしい。


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